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予備知識 「リンパ浮腫」 について *
★リンパ浮腫は、決して珍しい病気ではなく、一次性(生まれつきのもの)、二次性(乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節廓清を行なった後に起きるもの)など、結構多く見られます。しかし、まだ、この疾患自体があまり知られておらず、専門医も少なく、診断までに時間がかかり、こじらせてしまうことが少なくありません。
★リンパ浮腫の特徴は、皮膚の色の変化のない、無痛性のむくみです。最初は、軽く腫脹しても、朝には軽減します。むくみを繰り返すうち、皮膚が青白く冷たくなり、押せばひっこんでいた皮膚表面は、蛋白や脂肪が沈着して次第に硬くなります。悪化すると、太く変形するため「象皮症」とも呼ばれています。
★急速にむくみが進行した場合、圧迫感を覚えたり、静脈うっ血による皮膚の青紫化などが起こることがあります。まれにそけい部などのリンパ節腫脹を伴うことがあります。
★子宮がんや卵巣がんの手術で、両側のリンパ節を廓清しても、ほとんどの場合、太くなるのは片側だけです。もう一方の脚が以前より細くなり、左右差が大きくなることがよくあります。月経や暑さ、寒さで悪化することがあります。
★術後のむくみ予防には、日常生活の上で腕や脚をあげたり、マッサージ(特に入浴後が効果的)を心がけることが有効です。軽く皮膚表面をさするだけでも、術後、発達しはじめるリンパ管のバイパス(副行路)の流れを良くします。逆に身体をしめつける下着や衣類の着用や、長時間の立ち仕事、手足を振りまわすスポーツ、正座は基本的に望ましくありません。
★治療は、むくんだ腕や脚をあげ、マッサージでリンパ液の流れを良くし、弾力ストッキングやスリーブでそれを維持します。軽いリズミカルな運動や、水圧がかかる入浴中やプールで身体を動かすこともお薦めです。肥満はリンパ浮腫の大敵、減量を心がけます。
★皮膚が赤くなったり、熱をもつ場合、細菌感染による「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」の合併が考えられます。マッサージは炎症を悪化させるので中止。腕や脚をあげて安静にし、患部を冷やし、医師に相談し、早めに抗生物質を服用すると比較的短期間で治ります。
★「蜂窩織炎」の予防には、細菌を体内に入れないよう、虫刺され、土いじりに注意。 (乳がんの人は)手袋、長袖のシャツ、(子宮がんなどの人は)長ズボンを着用して、傷を防ぎます。特に爪周囲の清潔に心がけ、水虫は治療し、過労しないことも大切です。
*参考資料:『「リンパ浮腫」知って!』